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「動画を作って終わり」にしない。動線を先に描いてから撮影に入る理由
制作の考え方

「動画を作って終わり」にしない。動線を先に描いてから撮影に入る理由

動画制作のご相談をいただく中で、一番「もったいないな」と感じる瞬間があります。

それは、動画の使い道(動線)を決めないまま、先に撮影だけ進めようとしている ケースです。

「とりあえずいい感じに撮ってもらえれば、あとで使い方は考えます」 「YouTubeでもホームページでも使えるように、汎用的に撮っておいてほしい」

このお気持ち自体はすごくよくわかります。ただ、正直に申し上げると、この進め方だと、後工程で編集がただの無理やり辻褄合わせになる ことが本当に多いんですよね。今回はその理由と、映心動が「撮る前の設計」をここまで大事にしている背景を書きます。

動線を先に描かないまま撮ると、編集で「無理をきかせる」だけになる

動画制作って、一見すると「撮影がメインのイベント」に見えるんですが、実は 撮影の良し悪しは、その前段階の設計で8割決まっている と思っています。

動線を描かずに撮影に入ると、編集フェーズで何が起きるか。

  • 挨拶が長く入っているのに、LP埋め込み用に30秒で収めたい
  • 会社説明をしっかり入れて撮ったのに、YouTubeの2本目以降だと冗長になる
  • 横画面(16:9)前提で人物を端に寄せて撮ったのに、後から縦画面(ショート)にもしたくなって顔が見切れる
  • トーンが柔らかめなのに、広告配信用の尺で「勢い」を出したくなる

こうなると、編集は 「無いものを生み出す作業」ではなく、「あるものでなんとか辻褄を合わせる作業」 になってしまいます。カットを無理に刻む、BGMで違和感を埋める、テロップで情報を後乗せする…。これ全部、撮影の段階で設計していれば、そもそも起きない問題なんです。

もちろん、今はAIでの補完や生成も進んでいて、撮影後に「それっぽく」カバーできる範囲は以前よりずっと広がっています。動画制作に普段触れない方からすれば、ぱっと見はちゃんと整っているように見えるレベル までは、編集側でも十分寄せていけます。

ただ、高品質な動画という観点で見ると、どうしても「なんとかしているだけ」の痕跡は残る んですよね。よく見るとディテールに粗が出たり、トーンの繋ぎ目に違和感が出たり。しかも、そこを埋めるために 本来は要らなかった編集費や追加の素材費が乗ってくる ことも多いんです。

完成物として「見られる状態」にはなるけれど、動画として事前に潰しておきたかったポイントに、あとからコストをかけて蓋をしている状態 。ここが、一番もったいない部分だと思っています。

YouTubeとLP埋め込みでは、そもそも撮るものが違う

一番わかりやすい例がこれです。同じテーマ・同じ会社の動画でも、どこで使うか によって、撮るべきものは大きく変わります。

YouTube(特にシリーズ化するチャンネル)の場合

YouTubeでシリーズとして配信していくなら、最初の挨拶や権威付けは、むしろあった方がいい です。

  • 「こんにちは、◯◯の△△です」という導入
  • 「今回の動画では〜がわかります」という視聴目的の提示
  • 発信者のバックグラウンドを一言添える権威付け

これは「取っかかり」を作るための装置なんですよね。YouTubeは 初めてそのチャンネルに触れる人が大半 なので、「誰が、何の話を、なぜするのか」が最初の数秒で伝わらないと、そのまま離脱されてしまいます。シリーズものなら、この導入フォーマットを揃えることで、チャンネル全体の一貫性も出る。

逆に、ここを撮らずに本編だけ撮ってしまうと、後からナレーションで導入を補う ことになります。もちろんナレーションで補完すること自体は可能です。ただ、本当はその人の口から喋ってもらった方が伝わる内容 が、ナレーションに置き換わってしまうと、熱量や説得力がどうしても落ちるんですよね。視聴者との距離感も変わる。

加えて、ナレーション費用が別途かかります。1本だけなら大した金額ではないんですが、シリーズ全本に毎回乗ってくる となると、積み上がってじわじわ効いてきます。本人が現場で一言喋ってくれていれば発生しなかったコストなので、これも「事前設計のコスパ」を語る上で見逃せないポイントです。

だから、ここでは「挨拶は要らない」ではなく、意図を持って挨拶を設計する のが正解です。

LP(ランディングページ)に埋め込む場合

一方で、LPに埋め込む動画は真逆の発想が必要です。

LPを訪れた人は、そのページを見に来た時点で すでにその会社・サービスに興味を持っている状態。そこに「こんにちは、◯◯です」から始まる動画を置いてしまうと、本題に入る前に離脱される か、少なくとも「まだ前置き?」とストレスを与えてしまいます。

LP埋め込み動画では、むしろ 挨拶ゼロ、冒頭3秒で本題 が鉄則です。

  • いきなり悩みの提示から入る
  • いきなり解決策を見せる
  • いきなりビフォーアフターを映す

この前提の差を無視して、「とりあえず汎用的に、どこでも使えるように撮っておく」 をやってしまうと、YouTube向けにもLP向けにも中途半端な動画が1本できあがってしまいます。ここが、一番もったいないパターンです。

「いろんなパターンで使えるように撮る」の落とし穴

「それなら、両パターン使えるように幅広く撮っておけば安心じゃない?」というご意見もいただきます。

正直に言うと、これを意図的にやりたいと希望されるお客様の場合は、私たちもその方針で撮影します。素材のバリエーションを確保すること自体は、後の活用を広げる良い手段です。

ただ、個人的におすすめする順序はその逆 なんです。

いろんな使い方を最初から想定して撮ると、結果的に次のような状態になりやすい。

  • 尺が中途半端(長すぎず短すぎず、でもどれにも最適化されていない)
  • トーンが平均的(攻めも引きもない、無難な映像)
  • 挨拶も本題もある(でもどちらも薄い)
  • 話し手の目線が定まらない(誰に話しているのか伝わらない)

結果として、YouTubeに使っても引きが弱いし、LPに埋めても前置きが邪魔、SNS広告には長すぎる…と、どこでも7割しか力を発揮しない動画 が出来上がってしまいます。

これ、お客様のせいでも、制作会社のせいでもなくて、そもそもの設計が「全部取り」になっているから なんですよね。

そしてもう一つ見落とされがちなのが、編集費への跳ね返り です。素材のバリエーションを広く確保すると、当然ですが 編集段階で「どれを使うか」を選ぶ作業が増えます。素材レビュー、カット選定、用途別の書き出し、テロップやBGMの当て直し…と、元素材が多ければ多いほど、編集の工数はきれいに比例して伸びていきます。

つまり、「全部取り」で撮った動画は 撮影費だけでなく、編集費の方でもコストが積み上がる 構造なんですよね。逆に、1本の目的に絞って撮影設計した動画 は、編集の判断軸もシンプルになるので、作業工数も圧縮できる。結果として、先に動線を設計した方が、完成物のクオリティは上がるのに、トータルコストは下がる という、一見逆に見える現象が起きます。

動線が決まると、撮影のすべてが決まる

動線(=動画が使われるシーン)が最初に決まると、撮影現場の判断はびっくりするくらいシンプルになります。

決めておくこと 変わってくるもの
どこで使うか(YouTube / LP / 広告 / 営業 / 店頭) 尺・アスペクト比・冒頭の作り
誰に見せるか(初見 / 検討中 / 既存顧客) 情報量・トーン・話し方のテンポ
何を伝えたいか(認知 / 検討促進 / クロージング) 構成・見せる順序・CTAの有無
どういう印象を残したいか BGM・フォント・色・編集テンポ

さらに、ここが決まると 「人」の構成まで逆算できる んです。

  • モデルを起用するのか、社員で撮るのか
  • ナレーションを別録りするのか、本人の声で撮るのか
  • スタジオで撮った方がいいのか、現場(ロケ)で撮った方がいいのか
  • 撮影に何日必要なのか、半日で十分なのか

例えば、「高級感のあるブランディング動画をLPに埋め込みたい」なら、スタジオライティングでモデルを使った方がいいかもしれない。逆に「求人用にYouTubeで人柄を伝えたい」なら、わざわざ作り込まずに現場で社員同士の自然な会話を撮った方が強い 。答えは動線によって全然変わります。

ここを事前に握れていないと、撮影当日に「あ、やっぱりこうしたい」「ここをもう少し撮りたい」が次々出てきてしまう。そして 現場でよくあるのが、「すみません、それ今日だと撮れないです」 という返しなんです。

機材も、ロケ地の許可も、スタッフのアサインも、当日急に変えられるものではありません。そうすると、その1日がまるまる再撮影扱い になってしまう。お客様も時間とお金を無駄にしますし、私たちとしても本来出せるはずのクオリティを出せずに終わる。これは双方にとって、本当にもったいない。

納期が近い時こそ、設計を飛ばさない

「でも、もう納期が迫ってるんです」というご相談もよくあります。

納期が近々の場合は、私たちも当然スピードを合わせにいきます。ただ、納期が近い時こそ、目的はもう決まっているはず なんですよね。

  • 「来月の展示会で流すから」
  • 「再来週の取締役会で社長が見せるから」
  • 「広告配信の開始日が決まっているから」

使う場所・時期・相手が、すでに明確に決まっているケースがほとんどです。だったら、逆に 設計は30分で固められる。動線が明確な案件は、意思決定がむしろ速く進みます。

怖いのは、「使い道はまだ決まってないけど、とりあえず撮っちゃいましょう」 のパターンです。これをやってしまうと、撮影コストだけ先に発生して、でも使い道が後から「やっぱりこうしたい」で揺れ続けるので、結局撮り直しや追加撮影が発生しやすい。目的が定まらないうちに急いで撮るのが、一番遠回り なんです。

撮影前に握っておきたい、6つのチェックリスト

最後に、映心動がヒアリングの段階で必ずお客様と一緒に整理している項目を、そのままリストにしておきます。相見積もりの段階でも、この6つが頭に入っているかどうかで、完成物のクオリティがかなり変わります。

  1. 使う場所(YouTube / LP / SNS広告 / 営業ツール / 店頭 / 社内 / 採用ページ)
  2. 見せる相手(初対面の見込み客 / 検討中の顧客 / 既存顧客 / 求職者 / 社員)
  3. 想定する尺(15秒 / 30秒 / 1分 / 3分 / 10分以上 / シリーズ)
  4. 見終わった後にどう動いてほしいか(問い合わせ / 来店 / 資料請求 / チャンネル登録 / 応募)
  5. 会社として残したい印象(高級感 / 親しみ / 勢い / 信頼 / 温かみ)
  6. 二次利用の可能性(切り抜きでSNSに流す / 来年のリニューアル素材に使う など)

この6つさえ握れれば、撮影プラン・機材・ロケ・出演者・ナレーションの有無・編集トーン まで、ほぼ自動的に決まります。逆にここが曖昧なまま撮影に突入すると、どこかで必ず「思ってたのと違う」が発生します。

動画は「撮った瞬間」ではなく「使われた瞬間」に完成する

長くなりましたが、私たちが伝えたいのは、結局これです。

動画は撮った瞬間に完成するのではなく、動線の中で使われた時に、ようやく完成する。

撮影現場の派手さや、編集の技巧ではなく、その動画が、ビジネスのどこでどう働くのか 。ここを最初に描ききれているかどうかで、3ヶ月後・半年後にその動画が「使い続けられる資産」になるか、「1回使って終わる費用」になるかが決まります。

私たちが撮影前の打ち合わせに時間をかけるのは、撮影を売りたくないからではなくて、お客様に後悔してほしくないから なんですよね。撮影だけなら早く済ませた方が、うちとしても楽ではあるんです。でも、そこで急ぐと、結局どこかで誰かが損をする。だったら、最初に30分〜1時間、ビジネスの動線を一緒に整理した方が、お互いにとって絶対にいい動画が作れます。


「撮影前に何を整理すればいいか、一緒に考えてほしい」と感じたら、お問い合わせフォーム からお気軽にご相談ください。初回のご相談・お見積りは無料です。映心動では、まず動線を一緒に描いて、そこから撮影プランを逆算する スタイルでご提案しています。

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